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医院や歯にまつわる情報を提供しています

歯周病治療が痛くてつらい方へ。それ、痛くなくできますよ。

今まで来院する患者さんにはお話ししてきた内容ですが、ブログには記載したことはありませんでした。
『どうせこんな零細の小さな歯科医院のブログなんて、読む人少ないでしょ』という自虐を内包しながら、書いてしまおうと思います。

  • 歯科医院で受ける歯石除去が死ぬほど痛くてつらい
  • しかもまたすぐに歯石がついて歯科医院に行くたびに痛い目にあう
  • 歯周病治療に通っているのに一向に歯肉出血がおさまらない。または一瞬良くなる気がするけど1~2か月もするとまた歯肉出血が始まる。
  • 口臭が一向に良くならない
  • 歯ブラシのやり方は習っていない。ただただ、歯科医院に行ってナニカをしてもらっている
  • 歯ブラシの話ばかりで、一向に良くなっている気がしない。コレ、いつまで付き合わないといけないの?

と思っている方はご一読下さい。

1. 歯周病治療が痛い理由は、治療法が適切ではないから

「歯周病治療をしますね」と言われてそれを直すために何をしたか、あなたは覚えているでしょうか?
一般的には、保険診療で治療を行っていくと思います。

保険診療による歯周病治療の流れ

①レントゲン撮影や歯肉の検査でまず「歯周病」という病名を付けます。

これであなたは「歯周病」になりました。
※診査診断があり、病名がついて、その後治療です。検査もなしにいきなり歯石除去は違法です※

②「歯周病」は病気です。

病気を治すために治療を開始します。

③「歯周病」の「治療」は「歯石除去」です。

エアースケーラー・超音波スケーラー・歯科衛生士さんが刃物を手で持ってガリガリするハンドスケーラーで「歯石除去」することが「治療」の第一歩になります。
ついでに回転ブラシで3か月に1回歯の表面を磨きます。研磨剤と回転ブラシでゴシゴシこすります。

④口の中の、見える歯石(歯肉縁上歯石)を取り終わりました!

ここで、「歯周病」が治っているかまた歯肉の検査をしてチェック!

⑤歯周ポケット(歯と歯肉の間の病的なスキマ。細菌のたまり場)が深い場所は、歯周ポケットの中の「歯石」(縁下歯石)も取りましょう!

歯と歯肉の間に刃物を入れてガリガリ「歯石」を取るので、刃物が歯肉をひっかけて痛むこともあります。
刃物が歯肉をひっかけるともちろん痛いので、麻酔をしてガリガリしますよ!
歯肉の中は見えないので手探りです。そして歯肉の中の歯石はものすごく硬い!
歯石除去をしすぎて腱鞘炎で歯科衛生士を続けられなくなる方もいます。

⑥「歯周病」、治ったかな?また歯肉の検査をします。

うーん…。いまいち治りませんねえ…。
ちゃんとプロトコール通りにやっているのに変だなあ。
手さぐりで歯石を取ったから、取り残しの歯石があるのかも!
次は歯肉を切り開いて、直接目で見て残っている歯石を取りますね!
というわけでフラップオペです!

⑦できることはすべてやりました!あとは定期的に来院してもらって、経過を観察しましょう。

保険診療のルールはこの流れになりますが、巷ではこの流れの通りではないことも多いです。

  1. 他の治療(虫歯治療や根管治療)と抱き合わせで、歯周病治療の点数(保険診療は治療により点数が決まっています。全国一律です)だけ頂いて、全く何もしていないところ
  2. さんざん虫歯治療をした後、「最後に歯石でも取って終わろうか」と③だけ行うところ
  3. 「歯周病治療に力を入れています!」というクリニックは①~⑦(または⑤から⑦へ)まで通しでやっている場合もあります。

しかし、悲しいかな、①~⑥まで通しでやられると、歯や歯肉はボロボロになります。
⑦でも歯石を取られるかもしれない。

なぜでしょうか?

実は、歯周病は歯石を取っても治りません。
これは、当院にお越しになる方に全員説明させて頂いています。
皆さん絶対に驚くポイントです。

では、なぜ治らないのにあまたの歯科医院は必死で歯石を取っているのでしょうか?

とても簡単に言えば、昔の治療の根拠である「歯石が悪い・歯石が歯周病の原因だ」と思っているからです。

昔、歯周病が進行して抜けてしまった歯を見ると、歯根部に歯石がまとわりついているのが目で見てわかりました。
そこで、
「歯周病の原因は歯石だ!」
「そしたら、この原因の歯石を取れば歯周病治るんじゃね?」
ということになり、歯周病治療=歯石を取る、ということになりました。

でも治らない。
実は、歯周病の原因は歯石ではなくバイオフィルムです。
バイオフィルムは、一昔前は「歯垢」や「プラーク(デンタルプラーク)」と呼ばれていたものです。
バイオフィルムとは、歯の表面に巣を張った細菌の集合体です。
口腔内の歯周病菌という細菌が、不溶性グルカンという水をはじく膜を作り、その中で増殖していきます。

歯周病菌は人にとって毒を分泌します。
また、バイオフィルムそのものも人にとって毒です。
だから、抗生物質や光で細菌だけ殺してもダメです。物理的に除去が必要です。

では、歯石ってなんでしたっけ?

歯石は、細菌の死骸です。細菌の化石です。
石灰化した細菌の死骸の塊なので、生きていません。
生きていないので毒を出さない。だから実は、歯石って人体に取って無害なんです。
でも、バイオフィルムって、形が凹凸です。
これがそのまま石灰化すると軽石みたいなデコボコ。
つるつるの歯の表面よりデコボコの歯石のほうが細菌が溜まりやすい。
だから歯磨きの効率を上げるために歯石を取ります。

除去すべきは、生きて毒を出す細菌。歯石は二の次。
これを守ると、歯周病はめっちゃ楽に・痛くなく治ります。
毒を出していた細菌を除去したら、毒にさらされなくなった歯肉は1~2週後に健康になっています。
そうなってから歯石を超音波で砕いて取れば、歯肉の炎症は収まっているので歯肉出血もさほどありません。
痛くないし、しみもしないです。

良く見られている歯医者さんのYouTube、
真っ赤に腫れた歯肉・コッテコテに付着している歯石をバーッと取って血がドバっていう動画ありますね。あれ、本当に良くないんですよ。
歯肉が炎症起こしているときに歯石を取ると、細菌がまき散らされるでしょ?
歯肉は腫れていて出血が酷いということは、体→外への道が開いているということ。
歯肉の細胞がぐちゃっとしていて、体内のものが外に漏れているということ。
つまり、逆も起きます。外の細菌が体内に侵攻しやすい状態なんです。
入ってきてますよ。口の中の細菌。体の中に。
菌血症と言います。
細菌を除去しないままに歯石だけ除去すると、菌血症を起こしてますよ。

刃物で歯石を取ろうとして、歯根や歯肉をガリガリ抉っているので、泣くほど痛いのです。
なんなら、抉られた歯根から虫歯になってしまうこともあります。
細菌が溢れかえったままなので、歯肉は腫れたまま。

確かに、歯石を取ることで、その上に堆積していた細菌がちょっと減ることもあります。
それにより一瞬歯肉出血がなくなったように感じても、1〜2ヶ月後に元の木阿弥になるのです。

歯周病を治したいなら、最初にバイオフィルム除去が必要です。
だから、当院はそれをやります。

もう一度言いますが、
歯石だけとっても治らないですよ。
世の中には、凝りすぎて、顕微鏡を見ながら歯石を取るクリニックもあるとか。
でも歯石とっても細菌除去しないと治らないのはもうご理解いただけたと思います。

以前、当院の患者さんで、保険診療だけご希望の方がいました。
歯石しか取れないこと、保険の回転ブラシによるクリーニングでは歯と歯の間や歯肉の溝の中の細菌は取れないのでバイオフィルム除去ができないこと、全てお伝えしましたが、自費診療のバイオフィルム除去はしない、とのことだったので、保険診療でできる範囲でルールに則り何回も来院しながら歯石だけをちょっとずつ取りました。
もちろん歯周病は治りません。歯肉は赤く腫れたまま。
歯肉出血も繰り返します。
結局治らないのでその方はお見えにならなくなりました。
こんな方、過去に何人もいらっしゃいます。
どうせ治らないならやるだけお互いムダじゃない?
と思い、今の池村のスタイルになりました。

また、レッドコンプレックスという、特に悪性度の高い歯周病菌を検出してみたり、レッドコンプレックスの一つであるP.G菌という菌をPCR検査で検出したりすることもあります。
悪性の菌がいようがいまいが。細菌の巣であるバイオフィルムを物理的に洗い流せば解決です。
悪性の菌が多いのに、バイオフィルムを除去しないで歯石除去だけを一生懸命しているのであれば、悪性の菌が少ない人よりも悪くなるのが早いってことです。
やることやれば治るのに、わざわざ「あなたには、すっごい悪性の菌がいる!」と悲しくさせる必要、あります?

2. 歯周病治療がどうも効果的ではない理由

そもそも歯周病菌だけが理由ではないこともありえます。

歯周病以外で歯肉出血するメジャーな病気、ご存知でしょうか?
白血病・ガン肝硬変、血小板減少性紫斑病、血友病 再生不良性貧血
ネフローゼ症候群などの全身疾患。
これらは病気の症状の一つとして歯肉出血があります。
医科にかかりつつ、感染のリスクを下げるために口腔内をケアしたいですね。

他には?
実は軽度の壊血病を疑う場合もあります。
壊血病、ご存じですか?大航海時代に船乗りがかかった病気で有名ですね。
ビタミンC不足で歯肉出血がおきます。
実は現代人は栄養不足の人が多いのです。
加工食品しか食べていない方はおそらくビタミンC不足でしょう。

歯ブラシが上手で、歯にそんなに細菌がもこもこついているわけではないのに、歯肉からの出血が多い方はビタミンC欠乏を疑います。
また、ビタミンCだけではなく、歯肉の細胞を修復する材料であるタンパク質や鉄不足を疑います。
栄養療法の知識があれば、一生懸命やっているのに歯肉出血がおさまらずに悩んでいる患者さんに対して「歯ブラシさぼってたでしょ!?」と追い詰める発言をしなくなります。

歯肉の炎症や出血を治したい場合、細菌対策だけでは治らない人は、普段のお食事から見直す必要が出てきます。

全てが歯周病菌のせいではないのです。

栄養療法のアプローチを併用すると治りが早くなります。

3. 「痛くて治ったり治らなかったり」と、「痛くなく治る」のと、どちらが良いでしょうか?

ときには痛いの大好きな方もいますからね。
でも、痛いのがつらい方は、痛い治療を乗り越えたのにいまいち良くなっているかわからないと悲しいのではないでしょうか。

ほりえもんや孫正義社長が、たまに「3か月に1度は歯医者に行くべき」と発言してくれているようなのです。(大事なことを発信ありがとうございます!)
それらの発信を受けて、ファンの方が歯科医院に行ってみたところ、泣くほど痛い目にあい

『こんな痛いことを3か月おきになんてむりむりむり』と感じ
「ここは痛くないんでしょう?」と当院にお見えになる方が多いです。

皆さん
『本当に痛くなかった!』
とにこにこしてお帰りですよ。しかもちゃんと治る。
(治る、とか表現して法律に引っかかったらヤダなと思いながら、でも事実なんで。なんか行政から指導を受けたらこの表現は変えていこうと思います)

つい先日も、たった9か月で歯周ポケット6ミリのところが3ミリになっているケースもありました。もう健康な歯肉です。

痛いのを我慢しながら運が良ければ治るのを待つより、痛くなく確実に良くなる方法を選ぶのを、お勧めしています。

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