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セルフホワイトニングは効果がある?注意点やオフィスホワイトニングとの違いについて歯科医が解説します!

「セルフホワイトニング」をご存知ですか?歯医者さんで受けられるオフィスホワイトニングとは違って、エステサロンやチョコ〇ップなどで自分で行うホワイトニングのことを指します。「気軽にできそうだし、やってみようかな」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、セルフホワイトニングに効果はあるのでしょうか?そこで、セルフホワイトニングはどういうものなのか、効果はあるのか、オフィスホワイトニング・ホームホワイトニングとはどう違うのか、などについて詳しく解説します。ホワイトニングに興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

ホワイトニングとは?

まずホワイトニングとは、化学的な薬剤などを使って歯の着色物を取り除き、歯を白くすることを言います。歯医者さんでプラーク(歯垢)や歯石を取り除く「クリーニング」と混同する患者さんも多いのですが、この2つは別物です。クリーニングは、その名前のとおり口腔内をきれいにするもので、歯の汚れや色素沈着が除去されるため、本来の歯の色を取り戻すことができます。一方でホワイトニングは、薬剤などを使って歯を白くするもので、本来の歯の色よりもさらに白くしたい人におすすめです。

市販のデンタルケアグッズを使ってもホワイトニング効果は得られない

中には、「ホワイトニング」と銘打った歯磨き粉剤やジェルなどをドラッグストアやネット通販などで購入して使っている人がいるかもしれません。まず初めにことわっておくと、このような方法はあくまでもデンタルケアであり、「ホワイトニング」とは言いません。

もちろん、歯を白くする効果も期待できません。市販の製品には、歯を白くする過酸化水素・過酸化尿素が使われていないからです。では、何をもって「ホワイトニング」と謳っているかというと、研磨剤(または清掃剤)がたっぷり含まれていることが多いようです。歯の着色が気になるときに、研磨剤で歯の表面の着色物をガリガリこすって落とすと、一時的にきれいになったように見えます。ところが、着色物だけでなく、歯の表面のエナメル質まで傷つけてしまっていることがほとんどです。歯に傷があるとますます着色しやすくなるため、本当に歯を白くしたい方は使用を控えたほうが良いでしょう。

また、歯磨きとは別に使うものとして、ホワイトニングジェルや、歯に貼るパック(「シート」や「シール」とも呼ばれる)や、歯の消しゴム、歯のマニキュアなどもあります。これらは、色ムラが出たり不衛生だったりするので、「急な写真撮影が!」などの事情がない限りお勧めは致しません。

セルフホワイトニングとは?効果はある

ホワイトニングの方法で歯を最も白くできるのは、歯医者さんで行うオフィスホワイトニングです。これに対して、エステサロンなどで行うホワイトニングを「セルフホワイトニング」と言います。

一般的にサロンでのホワイトニングは、マウスオープナーを装着し、専用のジェルを塗布した後、光を照射して薬剤の成分を活性化させる方法で行います。これを数回繰り返します。

 歯医者さんとは違い、サロンスタッフは専門的な資格を有していないため、手順の説明はしてくれますが、施術はお客さん自身で行います。 またセルフホワイトニングでは、リンゴ酸やコハク酸などの有機酸を配合した薬剤や、研磨剤が使われています。オフィスホワイトニングでは、漂白作用のある過酸化水素や過酸化尿素が主流ですが、サロンではこれらを使用することはできません。漂白作用のある薬剤が使用できないということは、セルフホワイトニングには歯を白くする効果はない、ということです。

セルフホワイトニングのデメリット

セルフホワイトニングでは、歯を白くすることはできません。それどころか、次のようなリスクも伴います。

〇見た目が悪くなる可能性がある

歯磨きを正しくできていない状態の歯には、「バイオフィルム」という細菌由来の膜がたくさん付いています。バイオフィルムには水や薬剤を弾く性質があります。バイオフィルムが付着した状態でホワイトニングの薬剤を塗っても、弾かれてしまって浸透しません。すると、きちんと磨けている場所とそうでない場所で薬剤の入り方に差が出て、ムラになってしまうことがあります。そうならないよう、オフィスホワイトニングでは、まずはクリーニングをしたり治療をしたりして、口腔内を良好な状態に整えます。

一方、セルフホワイトニングの場合は歯医者さんがお口の中をチェックすることはなく、口腔内が悪い状態だったとしても、それに気づくことができません。定期的に歯科検診を受けていればまだ気づけるチャンスがありますが、受けていなければ口腔内に異常がある状態でセルフホワイトニングを続けることになります。すると、どうなるでしょうか。気づいたら変に色ムラが出て見た目が悪くなってしまった、なんてことがあるかもしれません。時間や労力を無駄にしないためには、セルフホワイトニングの場合も、歯医者さんでの定期的なクリーニングや治療は必須、と考えたほうがよいでしょう。

○研磨剤などで歯の表面を傷つけてしまう

サロンで使われるホワイトニング薬剤の中には、研磨剤がたくさん配合されているものがあります。研磨剤でゴシゴシ磨く行為は、歯のエナメル質を壊すことにつながります。また、リンゴ酸やコハク酸などの有機酸が使われているものがありますが、これらも使いすぎると歯を傷つけてしまうことがあります。歯の表面が荒れると、ますます着色しやすくなります。

〇コスパが悪い

ホワイトニングを行っているエステサロンでは、回数券制を導入しているところがあります。初めに10回分、あるいは20回分などのチケットセットを購入し、好きなタイミングで通うといった方法のようです。1回あたりの料金が安くなりお得に感じられますが、そもそもセルフホワイトニングでは、歯を白くすることはできません。回数を重ねたから白くなる、ということもありません。中には、「白くなった」と感じる人もいるようですが、研磨剤の作用で、一時的に白く見えているだけ、という可能性もあります。

「オフィスホワイトニングは高い、それに比べたらサロンのほうがお得」そんなイメージで、セルフホワイトニングに通っている人もいるかもしれませんが、効果を考えると、オフィスホワイトニングのほうがはるかにコスパが良いと言えます。

1回あたりの料金に目が行きがちですが、長期的に歯に良い方法を選びましょう。

基本的にはセルフホワイトニングよりもオフィスホワイトニングを選んだほうがよい

セルフホワイトニングは気軽にできて取り入れやすいのですが、歯の健康やコスパを考えるなら、基本的にオフィスホワイトニングを選んだほうが良いでしょう。特に次のような場合には、歯医者さんに相談することをおすすめします。

  • 歯や歯茎で気になるところがある人(痛みや炎症がある、口臭がある、虫歯があるなど)
  • 毎日の歯磨きに自信がない人
  • 定期的に歯科検診を受けていない人
  • 確かなホワイトニング効果を実感したい人
  • 本来の色以上の白さを求める人
  • セルフホワイトニングで思ったような効果を得られなかった人
ホワイトニングの相談をしている患者

セルフホワイトニングとはどう違う?ホームホワイトニング、オフィスホワイトニングの特徴

歯を白くしたいなら、歯科医院でオフィスホワイトニングを受けるのが一番の近道です。また、忙しくて頻繁に通院できない場合には、歯科医院でホワイトニング用のマウスピースと薬剤を購入し、自宅で行う「ホームホワイトニング」という方法もあります。それぞれの特徴をご紹介します。

◇オフィスホワイトニング

一番白くなる方法で、歯科医院でやってもらうホワイトニングです。医療機関にのみ使用可能な過酸化水素・過酸化尿素といった成分で歯を白くします。

歯科医院なので、必ずホワイトニングの前に歯のクリーニングを行うはずです。歯の表面に細菌の膜であるバイオフィルムがあるとホワイトニングの薬液が歯に浸透しにくく効果が半減したり色ムラが出たりしてしまうからです。国家資格を持つ歯科衛生士や歯科医師が行うので安心ですし、寝ている間に歯がきれいになるので続けやすいでしょう。また、過酸化水素は強い消毒作用があり、繰り返しオフィスホワイトニングをすると虫歯予防効果があることがわかっています。歯が白くきれいになりながら虫歯予防もできるなんて、うれしいですね。

デメリットと言うと、残念ながら奥歯には使用できない、という点が挙げられます。白くできるのは、前歯や小臼歯の唇側のみです。

また、各歯科医院で仕入れるメーカーや製品が違いますので、残念ながらホワイトニング後に歯に痛みが出てしまうことがあります。痛みの少ない製品を採っている歯科医院もありますので、術後に歯が痛くなる人が多いのかどうか、ホワイトニングを受けたい歯科医院に確認してみて下さい。

◇ホームホワイトニング

歯科医院でのみ処方される自宅用のホワイトニング剤を使用して、自分で行うホワイトニングです。歯を白くする成分である過酸化水素や過酸化尿素を含んでいますが、オフィスホワイトニングよりは濃度が薄くなっています。オフィスホワイトニングに比べて即効性はありませんが、毎日行うとじわじわと白くなっていきます。

自分の歯型から作成したホワイトニング用のマウスピースや既製のトレーなどにホワイトニング剤を入れて、歯にセットして使用します。薬剤に過酸化水素が含まれていれば、奥歯へのホワイトニング効果や虫歯予防効果が期待できます。 歯医者さんの中には、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた「デュアルホワイトニング」を行っているところもあります。デュアルホワイトニングを行うと、より効果的に歯の白さをキープすることができます。

セルフホワイトニングとホームホワイトニング、オフィスホワイトニングとの違い

最後に、3つのホワイトニング方法の違いをまとめてみました。

セルフホワイトニングオフィスホワイトニングホームホワイトニング
誰が自分歯科衛生士・歯科医師自分
どこでサロン歯科医院歯科医院の指導のもと自宅で行う
医療の介入×
やり方①オープナーを装着
②専用のジェルを塗布
③光を照射
④これを何度か繰り返す
①歯の清掃
②色の確認
③歯肉保護剤の塗布
④ホワイトニング薬剤の塗布
⑤光の照射
④と⑤を3~5回繰り返す
①念入りな歯ブラシ・歯間ブラシなど
②ホワイトニングトレーにホワイトニング剤を注入
③ホワイトニングトレーを歯にセット
⑤7~120分程度待つ(ライトを持っている場合は光の照射)
1回あたりの所要時間30分間~1時間30分間~1時間7分~2時間
使用する薬剤などの成分リンゴ酸、コハク酸、ポリリン酸ナトリウムなど。研磨剤のみの場合もある。過酸化水素、過酸化尿素、ポリリン酸ナトリウムなど。
セルフホワイトニングやホームホワイトニンの薬剤よりも高濃度の薬剤を使用することができる。
過酸化水素、過酸化尿素、ポリリン酸ナトリウムなど。オフィスホワイトニングよりも濃度が低い。
効果ホワイトニング効果はない。一時的に着色汚れを落とすこともある。本来の色以上に白くすることも可能。本来の色以上に白くすることも可能。
頻度1週間に1度のペースで、3~5回通う。1~2週間に1度のペースで数回通院する。効果が実感できるようになった後は、数か月に1度のペース。はじめの2週間程度はできるだけ毎日行う。その後は、1週間に1回程度。
費用1回あたり数千円。
(10回券、20回券などの回数制を導入しているところが多い)
1回あたり
20,000円~70,000円程度。
・マウスピースの制作:
30,000~50,000円前後。
・薬剤(1週間分):
10,000~20,000円。

効果を重視するのであれば、やはりオフィスホワイトニングやデュアルホワイトニングがおすすめです。効果を実感できるホワイトニングを受けたい方は、ぜひご相談にいらしてくださいね。

まとめ

  • セルフホワイトニングはサロンで行うホワイトニング方法で、手軽さが魅力だが、オフィスホワイトニングのような効果は期待できない
  • サロンでのセルフホワイトニングは安価で通いやすいが、医療資格を持つスタッフが介入するわけではない
  • セルフホワイトニングではホワイトニング効果のある薬剤は使用できないため、研磨剤や有機酸によって着色汚れを落として一時的に白く見せているが、結果的に歯のエナメル質を傷つけてしまい、より着色しやすい歯になってしまっていることが多い
  • 確実な白さや高い効果を求める場合や、健康で白い歯を目指す場合には、歯科医院でのオフィスホワイトニングやホームホワイトニング、デュアルホワイトニングがおすすめ

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