その治療、カモられてますよ!
こんにちは。
削らない歯科医の池村です。
最初にお伝えしておきます。
この記事は私の主観100%です。
あなたが満足しているならどんな治療だって100点です。
将来がどうであれね。
ただ、むし歯を削らないで維持管理するのが得意な歯科医師としては、
『あっちゃ~。コレやる前に来てくれたら歯の寿命もっと延びたのになあ』
と思うケースはそれはもう山ほどあるので、
治療前で治療するかしないかお悩み中の方はぜひ参考にしていただけたらと思います。
すでに張り切ってたくさん治療してしまっている方は、もしかして読まない方が良いかもしれないです。
だって読んだら悔しくなってしまうかもしれない。
そして後悔するきっかけを作ってしまった池村先生のことを憎く思ってしまうかもしれない。せっかく皆の知識が底上げされて危ない治療を受ける方が減れば良いと思ってブログ書いているのに恨まれるのヤダ!
人って不思議なもんで、ヘンな治療をした先生に感情を向けるのではなくて、指摘した方に感情が向けられることがあるんですよ。
上から目線とか言われたりね。
ドクターが診断してるのに上からマリコって言われるの!?って私は目を白黒。
でも、将来起こりえるリスク・現状悪いけれども、落ち着いているのであえて今張り切って治療しなくても良いところは伝えておかないといけません。
維持管理してその歯の寿命を何年も延ばしてあげていたのに、Xデーに症状が出てしまった際、
「先生の言うとおりにメンテナンスしていたのに悪くなった!」
とこれまた恨まれてしまうことがあるのです。
まるで
火事の対処に当たる消防士に「現場にいるからお前が放火犯だな!」というくらいの勘違いなんですが、ちゃんと言っておかないとこういう誤解される方いるんですよ。
細胞を修復するためにそこにいたのに「コレステロール値が高いからコレステロールが悪者だ!」となってコレステロール値を下げる薬が蔓延した一昔前みたいですね。
栄養療法で有名な溝口徹先生は40年も前からコレステロールは大事だよとおっしゃっていたのですが、世の中の流れが変わるのには時間がかかりますね。
それはさておき、本題です。
池村先生の思う「カモられ治療」を順不同に列挙していこうと思います。
インプラント
・オールオン4や6.ザイゴマなど
オールオン4や6とは、歯がまったくない(無歯顎と言います)状態に、インプラントを4本ないしは6本入れて、咬ませていく治療法です。
ザイゴマとは、頬の骨にインプラントを入れる治療。
上顎の無歯顎はインプラントを入れる顎骨が少ないケースが多くそれでも何とかインプラントを入れるために顎骨どころか頬骨にまでインプラントを入れる治療法です。
例えば、今、あなたに何本歯がないですか?
総入れ歯だった?ならオールオン4もザイゴマもあり。
オールオン4や6、ザイゴマは、すべてをインプラントで咬ませる治療法なので、自分の歯はあえてすべて抜きます。
だって全部インプラントで歯を作ろうとしているのにハンパに自分の歯あったら邪魔だし。
なので、総入れ歯に近いような2~3本しか自分の歯が残っていなくて、しかもその歯がグラグラ揺れていたりむし歯が激しかったりで使いものにならなそうな場合は計画的に抜歯してすべてインプラントで咬ませる。これは戦略的な抜歯なのでアリ。
むしろ長期的に安定させるので良い治療だと思います。
でも、歯が2~5本程度ないだけだとしたら(上の歯は親知らずを入れなければ14本ある予定)、全部抜いてしまうのはやりすぎかもしれません。
ところで、残っている自分の歯の状態は?
残っている歯は全部神経を取ってある歯(失活歯)ですか?
ならオールオン4もありです。
神経のない歯(失活歯)は近い将来に歯根破折を起こして抜歯になる可能性が高いですからね。
でも神経を取っていない歯(生活歯)をわざわざ全部抜いてオールオン4はやりすぎかもしれないです。
また、インプラントを入れられるほどの量が顎骨にあるのに、できるからと頬骨にわざわざインプラントを入れるザイゴマはやりすぎかもしれません。
たった1本歯がないだけなのに全部抜歯してザイゴマをやるという先生の噂を聞いたことがあるので。
そんな先生いる!?と実在を疑いながらも一応注意喚起として書いておきます。
・歯がなくなるたびに1本1本都度インプラントを入れていく
例えば、神経のない歯は「歯根破折を起こして抜歯」という事態が割と近い未来にあります。
あなたの口の中に神経のない歯だらけの場合は、『次はこの歯がダメになりそう』と予測がつけられます。
その患者さんのお口の中全体を見て、ダメになりそうな部分はまとめて治療する。
インプラントのブリッジの形にしたら骨に入れ込むインプラントの本数はある程度少なくできます。
神経がない歯が多いのであれば「この歯が今回ダメになったから今回はここにインプラントね」ではなく、全顎的な治療計画が無駄な治療を減らします。
歯がなくなったところに1本ずつインプラント入れていくと、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)のリスクも上がってしまいますしね。
そうやってインプラント入れまくってるところに限ってメンテナンスしていないケースが散見されますよ。
当院にお越しの患者さんで。インプラントたくさん入ってるのに「メンテナンスしたことない」っておっしゃる方、結構な頻度でいますからね。
インプラントは「納品」して終わりではなくその後のメンテナンスが命ですからね!
ン百万の入れ歯
高い入れ歯にも種類があります。
コーヌスクローネ(略してコーヌス)のような精密な入れ歯なら予知性があり今後刻々と変わる口腔内環境の変化にも耐えられると思うので、投資する価値はあるでしょう。
しかし、お高い入れ歯であっても、自分の歯にバネをかけるタイプなら、自分の歯のケアもしないといけません。
以前当院にこういう方がお越しになりました。
高い入れ歯を1年前に作ったけど、最近その入れ歯が治まり悪いから診てほしいというのです。
入れ歯のバネをかけているブリッジがダメになっていたんですよ。
神経のない(失活歯)前歯のブリッジに入れ歯のバネをかけていました。
こんなのじきに折れるの当たり前なのに…。奥歯ないと前歯が取れる話も参考にして下さい。
前歯がダメになったら、前歯にバネをかけていたン百万の入れ歯は合わなくなってしまいます。作り直しです。ン百万がたった数年で使えなくなることもあります。
せっかく歯に投資をするなら、今回のようなケースは長期に安定するコーヌスのような義歯を選択するか、奥歯にインプラントを入れてかみ合わせを安定させ、前歯のブリッジの寿命を延ばすのが良いでしょう。
セラミック矯正
歯列矯正は歯にじんわり力をかけて歯を並べていく治療です。歯磨きしやすくなるから歯並びがガタガタしている方は絶対やった方が良いです。
だが「セラミック矯正」、コイツはダメです。
初めて知ったときは本当にびっくりしましたよ。言葉の定義が違うから。
歯並び悪い歯全部削ってセラミック被せてるだけなんだもん。
それ、矯正じゃない。補綴って言うんだよ。
虫歯でもないのに歯を削りすぎ。
ガタガタの歯にむりやりきれいにセラミックを被せるので、歯を削る量が増えます。
削る量が多い=歯の神経が痛くなる率が高い=痛いとクレームに繋がる=歯の神経も先に取っておこう!(歯の神経なければ痛み出ないし!)
ということで、過剰な医療が提供されているようです。
数年前の話ですが、妊婦さんに訪問診療を頼まれたことがありました。
「切迫流産なのでクリニックにいけない。歯が取れたので来て欲しい。」
とのことで伺いました。
上の前歯6本、全部セラミック被っていました。そして被せたキワの歯肉どす黒く腫れていました。
歯肉の中にセラミックのフチがねじ込まれているから慢性的に歯肉に炎症が起きてしまう形の被せ物。
こういう感じでね、妊婦と歯肉の炎症の話、たくさんあるんですよ。
切迫流産(流産といっても、安静にしておけば妊娠継続できる)で安静にしないといけなくなったのはもしかしてこの歯肉の炎症も一因なんじゃないの?と疑っています。
他にも栄養療法的に見ると様々な栄養欠乏もあろうかと思いますが。
後日めでたく無事出産なされて来院してくれました。
レントゲンを撮ったら案の定前歯は歯の神経取ってましたね。そして根尖病変がありそうだった。
症状がないので様子見ですが。
虫歯でもなんでもなく、歯の神経も取っていない方が歯並びを良くしたいならセラミックを被せる「補綴」ではなく普通に矯正がおすすめです。
奥歯のない前歯治療
奥歯がないと、前歯は咬む力に耐えられません。全部抜けたり割れたりしますよ。
まともな歯科医師なら奥歯ない人の前歯だけなんて絶対治療しないです。
以上、ざっと思いつく限りのカモられ治療を記載しました。
ぜひ治療でお悩みの方は参考にしてみて下さい。
「自分はどうなのか!?」相談したい方はどうぞオンラインでご相談ください。
池村先生に相談したい方はオンラインセカンドオピニオンを選択して下さいね。
以上、削らない歯科医の池村でした。