歯並びはさっさと治しておくのが吉
こんにちは。
削らない歯科医の池村です。
予防的な観点からいくと、歯並びは早く治した方が良いです。
きれいな方が歯磨きしやすいので健康を維持できます。
複雑な歯並びだと歯磨きにも時間がかかりますからね。
今日は飲み会で疲れて歯間ブラシ・フロスができなかったとサボっている間に重篤になったらもったいないですよ。
いくつか例を挙げてみますね。
例その①
例えばこんな歯並び。
この前歯が咬まない感じ、「開口」っていう病的な歯並びです。
上と下の前歯に隙間がありますね。
この方は舌を前に突出させる癖があるのかもしれません。
前歯が咬んでいないので奥歯に咬む力の負荷がかかり、エナメル質にヒビが入ったり割れたりしやすいです。
また、この歯並びの青い矢印のような、前歯が重なっている部分。
歯ブラシのテクニックもイマイチのまま、その状態を放置すると、
20代の時は歯肉出血程度(歯肉炎)でも、40代後半では歯周ポケット6ミリくらい歯周病が進行ていたりします。
歯が重なっていて歯ブラシを当てにくく、歯肉から出血をする部分(歯肉炎)は、若いうちは歯肉に炎症があるだけですが、長期にわたり炎症がある状態を続けてしまうと、歯を支える骨も溶け始めます。
これが歯周病です。
歯肉の中に細菌が長期にたまっていて、細菌の出す毒にさらされ続けると、可逆性(元の状態に戻ることができる)歯肉炎から進化して、歯槽骨をも溶かす歯周病になってしまうのです。
もちろん、6ミリの状態からでも歯周病治療はできますが、歯槽骨は減ってしまっています。
歯槽骨が減ってしまった後に歯肉の炎症を治めると、歯が長くなったように見えてしまいます。
磨きにくいから、虫歯にもなりやすそうですよね。
咬む力の負荷も、歯周病も、虫歯も、経年劣化なので放置せず、早いうちに歯並びを治した方が、個々の歯を助けることにも繋がります。
極力、持って生まれたものを損なわないで生きていって頂きたいです。
で、マウスピース矯正しました。
じゃーん。
きれいに並びましたね。
めっちゃ歯磨きしやすいはず!
これだけでも虫歯・歯周病のリスクがぐっと!減りますよ!
上のド真ん中の歯の軽度な虫歯は、いつもの池村先生なら無理に削る虫歯ではないと様子を見るけど、ご本人が気になっちゃうということで、削ってプラスティックを詰めました。
数年後にプラスティックがこんな感じに色ついてくるだろうけど…。
プラスティックは変色がありますからね。あまり張り切って詰めたくはないです。
糖質(甘いものだけでなく、炭水化物全般)の摂取量を抑えて、また変な虫歯を作らないようにしていきたいですね。
例その②
もちろん若い方が骨も柔らかいので歯は動きやすいです。
でも、後期高齢者だったとしても遅くはありません。
だって磨きやすくなりますから。自分で口腔ケアをすることが健康寿命を延ばすことですからね。
例えば、こちらの方です。
78歳。
被せていたセラミックをこのように割ってしまいました。
通常であれば、被せなおしになります。割れたセラミックを削り取り新しいセラミックを作らなければなりません。
しかもこの割れた歯はインプラントで、奥の隣の歯とくっついています。
2本のセラミックを除去して作り直すとなると、30万円以上かかってしまいます。
でも、よく見ると、前歯がガチャガチャしていますね。歯磨きが難しく、重なっている前歯
は歯石も付着しやすくなります。
そこで今回は、被せ物の割れた部分を磨いてつるつるにしてから、マウスピース矯正で前歯のガチャガチャをならして、奥のスペースに送りました。
で、半年後。
被せなおしもせずに隙間は埋まり、前歯のガチャガチャも治りました。
咬み合わせの調整のために少し歯のとがっている部分を削らないといけないこともありますが、けっこう良いと思いません?
治療法は一つではなく、色々かけ合わせるとより良い効果を出してくれることもあります。
歯並びがきれいな方が、歯磨きの効率が上がり、より健康を維持できる。
早く歯並びがきれいになったら、残りの人生の歯並びが美しくなるので、費用対効果も抜群です。
歯並び治したいなー、というご希望をお持ちの方だけではなく、
主治医に「これしかない!」って言われたけど気がすすまないなあと思っている方も、どうぞご相談下さい。
もしかしたら何か別のご提案ができるかもしれませんよ。
それはさておき、歯並びは早く治すに越したことはないです。
ぜひ磨きやすく清潔感のある歯にしていきましょう。
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