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ネット情報で自己診断は危険

こんにちは。 削らない歯科医の池村です。 本日のタイトル、「ネット情報で自己診断は危険」 先日オンラインで、 問題を知覚して1.5年、しかし衛生士の友達の意見をきいたりネット読み漁って色々な人の色々な意見を見てわからなくなったり、自分でも『やっぱり自然が一番なんじゃないか』と思ったりして放置していた。 という方の相談を受けました。 最初にお伝えしておきたいのは、本当に大切な情報はネットには出ません。 エッセンスは出ます。フルではないです。 なので、ネット情報は「どの先生に相談するか」を探す材料にしましょう。 ネット情報は診断には使えません。 なぜなら、 その情報を発信している人はあなたを診察していないからです。 医師・歯科医師・栄養士やカウンセラー等々…いろいろな方が色々な情報を発信して下さっていて、助かりますよね? でも…そこに書いてあるのはもしかしたらその書き手の「わりと多い患者さんの例」かもしれません。 物事には例外があり、あなたがその「一般的な症例」に当たるかどうかは、あなたは判断できない。 そう。 『ここにこう書いてあるからこうかな?』と思ったあなたはその道のプロじゃないのです。 私もYouTubeやブログで 「削らない歯医者でーす!」とか「世の中の歯医者は歯を削りすぎ!」くらい言ってます。 でも、全ての歯を削らないわけじゃない。 がっぷり穴があいている歯や神経がすでにない歯は削る提案をすることもあります。 他院様で「削る」と診断された歯は8割以上削ることはないですが、それには削らないための秘訣がありますしケアもしていく前提です。 診断の基準を全て公開しているわけじゃないし、その患者さんの状況によって変わることもあります。 例えば、微妙なむし歯で、通常であれば削らないけど、その方が定期的にメンテナンスにお越しになれない方(海外行くとか転勤とか)であれば 「ケアできずにむし歯が進んでしまうのであれば、じゃあ今治療しちゃう…?定期的なメンテナンスが無理なら家ではこれを使って他にむし歯ができないようにコレしてアレして…」 と、最低限の治療と他の歯が悪くならないための方法をお伝えするのが第一優先となります。 医師・歯科医師は人生のかなりの時間やお金をその研鑽に費やしています。 それらの知識・技術を全て一般公開しているわけではありません。 私自身も、診断の基準を全て公開してはいませんしできるものでもありません。 「こういう場合はこう」というパターンはあっても、例外一つひとつを全部列挙することはできないからです。 患者さんは性格も性別も生活環境も千差万別ですからね。 中学校上がったとか、一人暮らし始めたとか、家に奥さんいて食事作ってくれる人なのかとか、単身赴任で中食外食が多いのかとか 出産したとか、転勤したとか、介護が必要な家族ができたとか… マメな性格だとか、今は栄養状態が悪いからダルダルだとか神経質になってしまっているだとか悲観的になってしまっているだとか、生活を変えられたのでむし歯歯周病のリスクが下がってきて性格も温厚になってきたから今ならこの提案ができるとか…。 患者さんの状況や人生のステージも加味して診断しているのです。 勤務してくれる歯科医師の先生方にさえ、これら診断の基準を直接教えていても理解してもらうのには時間かかります。 ましてや、素人をや。 誰かの記事を読んで判断するのは危険を伴うとことがご理解頂けるでしょうか。 得意不得意もあります。 不得意分野は断片情報で「あの治療法は良くない」と断言している場合もあるでしょう。 私はよくドックベストセメントを使いますが、根管治療がお得意の先生は「ドックベストセメントなんてとんでもない!」っておっしゃる方が多いです。 それは成功症例を見る機会がなく失敗症例ばかり見ているから。 私はむし歯をあえて削らずにメンテナンスでむし歯を進行させないということを得意としていますが、普通の歯医者の先生からするともしかしたら 「むし歯を放置するとんでもない歯医者だ!」と、悪魔の所業と思われているかもしれません。 当院の患者さんが地域の無料の歯科検診を受けて「むし歯があるから削らないといけないと言われた!メンテナンス受けているのに!?」 と確認にいらして、 「当院ではこのレベルのむし歯はメンテナンスでケア出来るから、今は削らないで大事に守っている歯でしたよね」と 再度お伝えする事態も過去何度かありました。 当院には確認にいらっしゃらずにそのまま他院様で歯を削る選択をしてしまった方もいるのかもしれません。 小児矯正の”拡大床”という装置を否定してる歯科医師の先生のブログを拝見したことがあります。 「上あごの横幅ばかり拡げて、下の歯との噛み合わせがおかしくなる!」という主張でした。 しかし、横幅だけ、しかも上顎だけ拡げる拡大床など私は使いません。 ”拡大床”も種類があるのです。 数年前に「子供に使う”拡大床”を大人に使うなんてとんでもない!」と私がFacebookで発言した折に、知り合いの先生が大人にも使用できる”拡大床”を教えてくれたこともありました。 その分野に詳しくないからこそ、一部の残念な症例だけ見て「こんなものはダメだ」と正義の心でもって発信してしまうこともありますが 実は詳しく勉強したら違うことってたくさんあるのではないかと思います。 医師・歯科医師も神様ではないので、森羅万象すべての事象を把握しているわけではないのです。 勉強するのは自分の専門・得意分野に偏りますからね。 また、発信者が患者さんを診療する立場にない方の場合もあります。 論文を読み込んでそれをわかりやすく説明することでファンが多い発信者もいるようです。 しかしそれを信じて不利益を被ったとしても、その発信者の方はあなたを診察したわけではないので責任は取りようがないのです。 自分の良くなった体験を綴るブログもありますね。 これも、そのブログを書いた方のパーソナリティとあなたが完全に一致することはないのではないでしょうか。 同じことをしようとしても同じように良い結果がでるかもわかりません。 ネットで見ているのは断片の情報だけです。 あなた向けではないかもしれない情報を信じて自己診断して、何かあったら自分が損するだけ。 なので、ネット情報は、自己診断の道具ではなく、「この先生は何が得意なのかな?」「この先生は自分の悩みを解決してくれそうだろうか?」 と、信頼できそうな先生を探す道具にして下さいね。

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