乳歯だから保険の虫歯治療でいい?詰め物はさらなる通院の序章になることも…
こんにちは。
神田中央通りいけむら歯科の池村です。
「乳歯だからいいです」について。
神田ではあんまり小児を治療する機会は少ないのですが、たまに患者さんがご自分のお子さんを連れてきて下さるんです。
親御さんがもともと当院の患者さんの場合は、いろいろ知識を蓄えていらっしゃるので、ご無体をおっしゃらないのですが、まれにお子さんの治療のためだけにいらっしゃる方も。
そこで、今回は、乳歯だからといって虫歯治療(プラスティックや銀などの詰め物)で済ませてしまうことの、親御さんや子どもの大変さについて、お伝えしていきます。
乳歯だから虫歯治療は早く治療して欲しい
冒頭でお伝えしたお子さんの治療のためだけにいらっしゃる場合は、
「通院大変だから早く治療して欲しい」
とおっしゃいます。
一応、削らない治療と保険診療の違いを説明しますが、そのような方のセリフはいつも同じ。
「乳歯だから保険で良い」
・・・まあ、本当にもうすぐ抜ける乳歯であればそれはそれで良くて。むしろ、別にむし歯治療もいらないケースもあるわけで(だってもうすぐ抜けるから)。
ただ、3~4歳の奥歯を「乳歯だから普通の治療で良い」というのは、池村は賛同しかねます。
保険で歯を削って詰める場合は、プラスティックか銀。
これは乳歯でも同じです。
で、子供(特に3~4歳)は治療時間に耐えきれないし、急ぐと治療精度が下がる。
乳歯にプラスティックを詰める流れ
プラスティックを詰める場合、削って(行程①)終わりではないんです。
↓
削ったところに接着剤を塗って(行程②)
↓
プラスティック詰めて(行程③)、
↓
形を整えてかみ合わせを整えて磨き上げる(行程④)という流れが必要です。
行程①と④はドリルを使うので水が出ます。
乳歯は、小さくて少し削っただけで神経出ちゃうことも多いので、行程①の段階で詰めて終われずに、よけい大掛かりな根の治療に移行してしまうケースもあります。
神経が無事だったとしても、子供はだいたい行程①で疲れ果てているので、残りの行程に非協力的です(それはもう、先生が励ましても母親が叱りつけても嫌なものはイヤ!まったく治療が進みません)。
黙って口を開けていることが難しく、口も小さいので接着剤を塗った歯にすぐ唾液がかかって濡れてしまいます。
その結果、行程②がうまくいかないケースも多いです。
接着剤が濡れてしまうと、プラスティックが取れやすくなったり、歯と詰めたプラスティックの隙間からむし歯に再感染しやすくなります。
さらに、行程③のプラスティックを詰める段でも、唾液に濡れてしまうケースが多いです。
工程④は困難を極めます。ドリルを使い形を整えたりかみ合わせを整えたり、詰めたプラスティックを磨いたりしますが、行程①のむし歯を削るドリルで怯え切った子供はもう耐えられないからです。
さらにいうと、乳歯は永久歯よりも水分含有量が多いので、適切な工程を行っても(接着剤は水がつくとくっつかない)治療がうまくいかないこともあります。
乳歯の詰め物を銀にした場合
では、詰め物を銀にしたとして?
銀を詰める場合は、行程①の後に型取りをします。短くても2分はじっとしていてもらわないといけませんが、これまた困難を極めます。
やはり唾液も多いし、じっとしているのが難しいので正確な型取りが難しい。
その型で銀を技工士さんが作ってくれますが、すぐにできるわけではないので、セットはだいたい翌週になります。
つまり、1つのむし歯治療に来院回数は2回になります。
銀を歯に詰める時に、セメントを使いますが、乳歯は水分含有量が多いのでセメントも溶出しやすい(つまり銀が取れやすいってことです)。
と、いうわけで、乳歯の治療はものすごく難しいのです。
1~2回で終わって親御さんは、
「良かった!」
と思っているかもしれませんが、実は更なる通院への序曲なのです。
治療される子供も大変。
嫌がる子供を歯医者へ連行する親も大変。
嫌がる子供を治療する歯医者さんも大変。
患者さんが大人なら歯医者さん一人にアシスタント1名で済む治療も、非協力的な患児だと抑えたり励ましたりするスタッフがさらに必要で、人件費も倍増。
大変スパイラルに巻き込まれていくのです。
「乳歯抜けるまで繰り返し通院も治療もがんばる!」
それも良いでしょう。
ただ、乳歯というものはいきなり全て抜けていきなり永久歯が生えてくるわけではありません。
混合歯列期と言って、乳歯と生えかけの永久歯が同居する時期があります。その時期に状態の悪い乳歯があればどうでしょう?
当然大切な大切な永久歯にも影響がでますね。
だって同じ空間に存在しているのですから。
なぜ虫歯になったのかを一緒に考えませんか?
「とにかく今日治療して!
通院大変だから!」
お気持ちお察ししますが、なぜその子がむし歯になってしまったのかを一緒に考えてあげませんか?
子供の健康・未来を守ってあげられるのは他の誰でもない親のあなたなんですから。
削らない治療も当然おすすめしますが、あなたのお子さんがこれ以上むし歯に悩まされない人生を歩んで行くために一緒にサポートしてあげませんか?
そのための知識と行動をお伝えするのが、当院の使命と考えておりますよ。
当院は無茶な治療は推奨しませんがむし歯にならない環境作りをサポートしております。
「大事な我が子の歯、守ってあげたい!」と思う親御さん、一度当院にご相談下さい。